王太子殿下は囚われ姫を愛したくてたまらない


「クレアは俺がすることをただ感じてて。それで思い知ればいい。俺がどれだけクレアを大事に想っているかを」

ベッドの上。いつの間にか脱がされたドレスや下着がそこらに散らばっていた。

私の服は脱がせておいて、自分だけ未だにきちんと服を着ているシド王子が憎らしい。

暑いのか、私の肌に唇を寄せるシド王子のおでこには汗が滲んでいた。

その、頬を流れる一筋の汗も、私を気遣うように見る眼差しも、暑そうに前髪をかきあげる仕草も、そしてそこに見える整った顔立ちも……すべてに魅了される。

この人の全部が、私を溶かすためにあるんじゃないかとさえ思ってしまう。

自分の気持ちが大きすぎて溢れそうで……これをどうすればいいのかわからない。
シド王子が私に触れるたび、大きく膨らむこの気持ちを――。

「クレア、ちゃんと見てる?」
「んぅ……あ……っ」

もう、とろとろに溶かされた頭じゃ言葉なんて考えられない。

だからただ眼差しだけを返していると、「仕方ないな」と微笑まれた。

ふっと笑う吐息にさえ乱される。
優しい微笑みがこんなにも目に毒だと思ったことはなかった。

「クレア……」

愛しそうに呼ぶ声に応えるように、シド王子の首に腕を絡めた。


自分を大事にしようと思う。この人のためにも。

頭も身体もシド王子から与えられる感覚を受け入れるのに精いっぱいなのに、心の奥が満たされたみたいに温かかった。


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