王太子殿下は囚われ姫を愛したくてたまらない
「……起きた?」
朝、目覚めるとシド王子はもう目を覚まして私を見ていた。
その瞳がにこりと愛しそうに細められる。
朝日の眩しさにも負けない微笑みをただぼんやりと見つめていると「おはよう。クレア」と言われたから、挨拶を返す。
「おはようございます」
開けられたままのカーテンから入り込む明かりを見て、昨日閉め忘れてしまったのかと考える。
昨日は色んなことがあったから、そんなところまで頭が回らなかった。
「身体の痛みは?」
布団の中で、何も身に着けていない腰を撫でてくる手を掴む。
「昨日、怪我した膝と……あと、ところどころ痛みます。でも、大丈夫です」
あらぬところが痛いとは言えずに誤魔化すと、シド王子が申し訳なさそうに表情を崩す。
「初めては痛いらしいから……ごめん。今日はこうしてゆっくりしていよう」
「いえ。シド王子のせいじゃないですから。……それに、こうしてゆっくりは困ります」
「どうして?」
不思議そうに聞くシド王子に、「だって」と口を尖らせる。
「晴れてるのに、中庭に行けないじゃないですか」
それを聞いたシド王子は「それもそうか」とおかしそうに笑う。
それから、「今日のドレスは俺が選んでもいい?」と聞いた。