王太子殿下は囚われ姫を愛したくてたまらない
ガイルの運転で帰る馬車の中。
シド王子と並んで揺られていた。
まだ名前に納得がいかないのか、シド王子は珍しく無口で……そんな横顔を見上げながら話しかける。
「名前、マーガレットにしたほうがいいですか?」
じっと見上げると、シド王子はハッとしたような顔を浮かべてから、微笑み首を振る。
「いや。気を遣わせてごめん。リリィって名前は響きも可愛いし、お母さんが描いた絵からとったっていう由来もいいと思ってるんだ。
ただ……なんで俺が思いつけなかったんだろうってふてくされてるだけで」
情けないような笑みを浮かべたシド王子を見つめてから、ふっと笑う。
「私、あの本が好きだったのは母が描いてくれたからって理由だけじゃないんです」
「え?」
「たぶん、あのうさぎに自分を重ねてたんです。いつか素敵な王子様と……って」
そこまで言ってから、笑顔でシド王子を見上げる。
「夢が叶いました」
柔らかい微笑みを浮かべたシド王子の向こう。
馬車の窓から見える青空が、キラキラ光って見えた。
FIN


