久遠の絆
小さく溜息をついたのは、まだ幼さの残る少年兵。


あの洗礼の儀式のあと、元帥から特に命を受けてグレン中将の元に派遣されたニアスだった。


彼が中将の側にいれば、より首都と前線との意思の疎通が図りやすくなる。


なんと言ってもニアスはカイルの腹心だった。


(グレンさん、ちょっと苦手なんだよね)


いつも冷静なカイルの側にいると、時折触れる熊の熱さを煩わしいと思うことがある。


ニアスにとってはカイルが一番。


彼にとっては皇帝でさえ、カイルより上になることはなかった。


だからこの度のことで、誰よりもカイルの力になりたいと思っている。


そしてとうとう前線にまで来てしまった。


(熊さんのとこまで、ね)


ちらりと新たな上司を見れば、その表情からは何も読み取れない。


戦時においては、そのお茶らけた性質も少しはなりを潜めるらしい。





























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