久遠の絆
皇女の夫君となり、為政者となる。


以前の自分は、それを良しとしていたはずなのに。


もし違う運命があるなら、などと考えている自分がいた。


(私は、どうしたというのだろう)


胸の奥にある、しこりのようなものが先程からしくしく痛むのだ。


その痛みの向こうに答えがある。


そう思うのに、それは影のようなものに邪魔をされて見えてこない。


(何が私を迷わせる?)


そうやって、カイルはが自分の気持ちを計りかねている時だった。


『げん……すい……どの』


突然思考に割り込んできた思念があった。


「なんです?」


思わず声に出して、周りに誰もいないことを思い出したカイルは、自らも思念でそれに答えた。


『シェイルナータさま、どうなさったのです?』


異空間からの思念は、これが初めてではない。


何度か、件の少女のことで通信を重ねていた。


しかしそれもしばらく途絶えていたのだが。


『蘭さまに何か?』


『ああ、ちと厄介なことになったよ』


『え?』


『一度ナイルターシャの気配と繋がったから上手くいったと思ったんだが、その後あの子の気配がぷっつり消えてしまったんだ』


『……それは、どういう?』


『わからん。だが……それは大気が暴走した時と重なっている』


『大気が暴走?』


『まあ、とりあえず引き続き気配を探ってみるからさ。じゃあね』


『あ、シェイルナータさま、お待ちを!』


だがもう、カイルが何度呼びかけても彼女からの返事はなかった。


(一方的なところは誰かに似ている)と彼は思ったが、あえて追求はしなかった。
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