久遠の絆
「前線に行かれるのですか?」


「ああ、行く」


「しかし……」


「何か意見があれば聞こう、ハウレン少将」


「は。閣下が首都を離れてしまわれるのは得策ではないと思うのですが」


「……非常時だ。少将」


「グレン中将にお任せするのではなかったのですか?」


カイルと少将の視線がぶつかった。


しばし睨み合うようにしていたが、先に視線を外したのはカイルだった。


「私をおかしいと思うか、少将?」


「……いつもの閣下ではないとは、思います。けっして一旦お決めになったことを覆さ
れることはありませんでした」


「そうだな、私もそう思う。だが、私は行かねばならない」


抑えがたい焦燥があった。


それは彼の心を支配し、前に進むことを促している。


今行かなければ、いつ行く?


あの少女を守ると決めたのは、自分ではなかったか。


あの子を利用するだけ利用して、このまま見捨ててしまえば、自分は人道にもとるだろ
う。


いや。


それだけか?


彼は人の良識だけで動こうとしているのか?


もっと根源的な衝動がありはしないだろか。


心の底から湧き上がる、狂おしいばかりの衝動が。


けれど彼がそれに気付くことは、まだない。


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