久遠の絆
実際カイルの予想したとおりであった。


同盟軍の新兵器による甚大な被害の中帝国軍が混乱している間に、ニアスは管制室を抜け出し、『アザゼル』の収納庫まで走った。


そして先程まで空を飛んでいて、まだ動力の生きている一機に乗り込み、右往左往する
兵たちを横目に飛び出した。


誰にも咎められなかった。


それだけ皆が浮き足立っていたということだ。


基本的な操作は習得済みだ。


実戦経験がないだけ。


「やるしかないんだっ!」


多くの犠牲を無駄にしたくない。


同盟軍に一矢報いることが出来れば、自分がここにいる意味もある。


ニアスはそう思いながら、照準を同盟軍の小型戦闘艇に合わせた。


「はずした」


そう簡単に当たれば訓練などいらない。


その後ニアス自身が危ない状況になりながらも、味方の『アザゼル』が数機出撃したこともあり、なんとか撃墜は免れていた。






そして。


カイルが前線に到着したのとほぼ同時刻、小型戦闘艇の入り乱れる空域から少し離れた場所で、ニアスは海の彼方に、同盟軍のものと思われる船影を見つけることになる。


(あれは……遠ざかっている……。こんな戦闘の真っ最中に?)


その時彼に一瞬の隙が生まれた。


ガンッ!!


強い衝撃。


「うわっ!」


尾翼から煙が出ている。


(しまったっ!)


浮力を失ったニアスの『アザゼル』は、ふらふらと高度を下げて行った。
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