久遠の絆
その時インターフォンから声がした。


『間もなく次元の壁付近に到達』というアナウンス。


「次元の壁?」


またまた聞きなれない言葉に蘭は渋い顔をした。


(何がなんだかホントにわかんない!)


すると自動ドアが開き、そこからわらわらと数人の女性が入って来てテーブルの上の物を片付けると、またわらわらと出て行った。


「わたしは管制室の方に戻らないといけないのです。こちらにお一人でおいで頂いてもよろしいですか?」


「…………」


思い切り渋面の蘭に、彼は申し訳なさそうな視線を送っている。


ややあって蘭は「わたしも行きます!」と意を決したように言ったのだ。


その言葉にカイルは目を見開いた。


「しかしお怪我に触りますから」


「でもここに一人でいるのはイヤなんです」


「不安なお気持ちはわかりますが……」


しばらく黙考していたカイルは、つと顔を上げると「わかりました」と言いながら、また受話器を手に取り、電話口の向こうに何かを告げた。


その内容は蘭には聞こえなかった。


すると、また自動ドアが開き、今度はカイルよりは頭ひとつ分ほど低い、けれど十分美形の少年が入ってきたのだ。




「ここの人たちってなんでこんなに綺麗なの?」




心の呟きを思わず口に出してしまった蘭だった。


その美少年はニアスといった。カイルの近習だという。


「この者をお傍に控えさせますので、どうかそれでご勘弁いただけませんか?」


蘭はちらりとニアスに視線を向けた。


彼女よりは幾分年下らしい。


柔らかそうな頬に、ぷにっとえくぼを作ってにこにこ微笑んでいる。


(か、かわいい……)

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