久遠の絆
「蘭さま?」


「わたし、異世界って所に行くんだね」


「……」


「もう戻って来ないのかなあ」


「蘭さま?まだカイルさまから何もお聞きでない?!」


慌てた口振りのニアスに視線を戻した蘭は、

「なあんか、タイミングを逃したというか、お互いに肝心な部分に触れずに済んでしまったというか。そんな感じ?」





『カウントダウンを開始します!』




「僕、カイルさまにお待ちいただくように言ってきます!だって蘭さま、何も納得されてないんですよね?!」


言って走って出て行こうとするニアスを、蘭は呼び止めた。


「いいの。いいんだよ!」


「何を仰ってるんです!!」


「わたし、死のうとしてたの」


「!?」


「死にたくて死にたくて走ってたら、カイルさんの部下さんの車にぶつかって……。」


「……」



「本当にわたしは、この世からわたしを消してしまいたかったんだ。わたしなんて最初からいないことにしてしまえばいいんだ。わたしがいなくなったって、誰も困りゃしないんだから。誰も心配なんてしないんだから。みんなわたしがいなくなれば、清々するに決まってるっ!!」




血を吐くような告白だった。


痛々しい言葉の羅列に、ニアスはそれまでの朗らかな笑みを引っ込ませ、何かに耐えるようにギュッと眉根に力を入れていた。


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