久遠の絆
蘭は呆然としてなかなか動けずにいた。
するとニアスが、「蘭さま、ご気分が優れませんか?」と心配そうに顔を覗き込んできた。
「わあっ、真っ青じゃないですか!医師を呼びましょう」
「ううん、少し休めば大丈夫だから……」
体に力が入らない。
本当はかなり辛いのだが、年下の男の子にあまり心配はかけたくなかった。
そんな蘭の遠慮が伝わるのか、ニアスは心配そうに彼女を見下ろしている。
「次元の壁を越えるのは初めてでらっしゃるのですから、ご気分が悪くなるのは仕方ありませんよ。ですからご自分の体調のことは正直に仰ってくださいね」
そんなニアスの優しい言葉に、蘭は素直に頷いた。
そんな彼女に軽く微笑むと、ニアスは蘭の乱れた寝具を整えたりし始めた。
調度が必要最低限しかなく殺風景だと思った部屋も、あの揺れを見越してのことだったのだろう。
テーブルや椅子も、床に打ち付けてあった。
「次元の壁って、ニアスは越えたことがあるの?」
少し気持ち悪さが薄れてきたところで、蘭は気になっていたことを尋ねた。
ニアスは顔にかかった亜麻色の髪を手で払いながら、
「船の試験も兼ねて、空軍では訓練を重ねていたんです。僕も一応見習い兵ですから、何度か乗ったことがあるのですよ」
と少し誇らしげに答えた。
「ふうん」
空軍
見習い兵
聞き慣れない言葉なためか、あまり現実感がない。
「うーん、じゃあ、カイルさんも兵隊さんなんだ?」
「兵隊というか、あの方は我が国の軍の最高司令官である元帥でいらっしゃるのですよ」
ニアスの顔が、先程よりも誇らしげに輝いた。
するとニアスが、「蘭さま、ご気分が優れませんか?」と心配そうに顔を覗き込んできた。
「わあっ、真っ青じゃないですか!医師を呼びましょう」
「ううん、少し休めば大丈夫だから……」
体に力が入らない。
本当はかなり辛いのだが、年下の男の子にあまり心配はかけたくなかった。
そんな蘭の遠慮が伝わるのか、ニアスは心配そうに彼女を見下ろしている。
「次元の壁を越えるのは初めてでらっしゃるのですから、ご気分が悪くなるのは仕方ありませんよ。ですからご自分の体調のことは正直に仰ってくださいね」
そんなニアスの優しい言葉に、蘭は素直に頷いた。
そんな彼女に軽く微笑むと、ニアスは蘭の乱れた寝具を整えたりし始めた。
調度が必要最低限しかなく殺風景だと思った部屋も、あの揺れを見越してのことだったのだろう。
テーブルや椅子も、床に打ち付けてあった。
「次元の壁って、ニアスは越えたことがあるの?」
少し気持ち悪さが薄れてきたところで、蘭は気になっていたことを尋ねた。
ニアスは顔にかかった亜麻色の髪を手で払いながら、
「船の試験も兼ねて、空軍では訓練を重ねていたんです。僕も一応見習い兵ですから、何度か乗ったことがあるのですよ」
と少し誇らしげに答えた。
「ふうん」
空軍
見習い兵
聞き慣れない言葉なためか、あまり現実感がない。
「うーん、じゃあ、カイルさんも兵隊さんなんだ?」
「兵隊というか、あの方は我が国の軍の最高司令官である元帥でいらっしゃるのですよ」
ニアスの顔が、先程よりも誇らしげに輝いた。