久遠の絆
「げん……すい……?」


う~ん、わからん……。


理解の範疇を超える話に、目が虚ろになる蘭だった。


「えっと、そうですね、蘭さまはまだ何も聞いてらっしゃらなかったんですよね。僕たちの世界について」


ニアスはふっと蘭から視線を外して正面を見た。


そのニアスの視線を追って頭を巡らすと、先程の窓があった。


そこには変わらぬ青空が見えていた。


「ここはもう、蘭さまのおられた世界ではありません」


はっきりと告げられた言葉に、蘭は青空を見たまま愕然とした。


「ここは蘭さまの世界とは次元の壁を接する世界。まあ、お隣さんと言ったところでしょうか」


今蘭がどんな表情をしているのか、ニアスには分からなかった。


けれど彼は淀みなく言葉を続けていく。


「宇宙よりももっと高次な世界は、泡状になっていると言う話をお聞きになったことはありますか?“蘭さまの宇宙がある世界”そして“僕たちの世界”は、いくつもある泡の、ひとつに過ぎないのです。
そして僕たちの世界の者達は、その泡と泡との境目を通り抜ける術(スベ)を発見した。それが、この“次元の壁を越える船”なのですよ」


「…………」


ニアスは何を言っているのだろう。


そんな絵空事を、どうして信じられると言うのか。


全て作り話。


SF映画の中の話としか思えない。


でも。


でも。


蘭は実際その船に乗っている。



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