久遠の絆
「ニアス?」


「はい。」


「あなたの言ったこと、信じられないよ?」


「…………」


蘭はまだ頭を窓のほうに向けたままだ。


ニアスは辛そうに視線を床に落とした。


「わたし、死にたかったんだ」


「……先程もそう仰っていましたね?」


「わたしはずっと独りだった。誰も信じられなかった。生きている意味なかったんだよ。生きていたくなかった。どこでもいいから遠くへ行きたかった。家を飛び出して、死に場所を探して走ってたの。それで車にぶつかって……。その時ね、わたし嬉しかったんだ。ああこれで死ねるって思ったから」


「そんな!」


「もうこれで汚れなくてすむって思ったの」


そう言って蘭は枕の上の頭を動かし、ニアスを見た。


「でもね、でも……」


「蘭さま?」


蘭は声を上げて泣いていた。


堰を切ったように溢れ出した涙はとめどなく溢れ、彼女の服の袖を濡らしていく。


そんな彼女をどうしていいのか分からず、ニアスはただおろおろしていた。


頭がキンキン痛み出し、目も熱く腫れぼったくなってきた頃。


カイルの声がした。


手におえないと思ったニアスが呼んだのだろう。


「さあ涙を拭いて、顔をお上げ下さい」


(ああ、カイルさんだ)


彼の声を聞くだけで、蘭は落ち着きを取り戻すことができたのだった。


(なんでだろう)


彼の声には、そんな力があるのだろうか。


存在自体が超絶なんだから、そんなこともあるのかもしれない。
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