久遠の絆
そんな蘭の様子に、くすくす笑いながら、


「石の力を引き出すのは、存外力を使うしくたびれるものなのですよ。それに、あなたはいろいろ悩む性質みたいだから……」


「……そうですね」


為す術がなく悶々としているのを、ナイルターシャはすでに見破っていたらしい。


「わたし、どうしたらいいんでしょう」


自分の力で何とかしようと思っていたのに、結局老女を頼ってしまった。


そのことでまた、自己嫌悪に陥った。


「人に頼ることを悪いことと思ってはいけないわ。あなたは十分自分で何とかしようと頑張っているもの。少しくらい、このおばあちゃんにもあなたのために何かさせて欲しいわ」



(ああ、ナイルターシャは本当に優しい人だ)


本当のおばあちゃんも、こんな人だったんだろうか。


会ったことのない祖母を、ふと思った。


「……石と少しだけ話しができるようになったんです」


「まあ、凄い進歩じゃない。……そうね。ふふふ、その石はあなたのことが大好きだって言ってるわよ。あなたと仲良くなれて嬉しいって」


見ると、瑠璃の石がちかちか光っていた。


「ばばさまとも話せるんですか?」


「わたくしがこの石の持ち主だと知っているから」


老女の指輪の石もまた瞬いている。


「石同士、仲いいんですね」


「ふふふ」


ナイルターシャと話しているうちに、ささくれ立っていた気持ちが徐々に落ち着いてくるようだった。




何をしてくれなくてもいいのだ。


ただそこにいてくれるだけで。


おばあちゃんみたいに包んでくれるだけで。


それだけでいい。

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