久遠の絆
「せっかく拾われたこの命。私を必要だといってくれる人のために使いたい。私を受け入れてくれる世界で生きていきたい」


心情を吐露するように、独り言のように告げられた言葉。


じっと天井を見ている蘭の横顔を穏やかに見返しながら、カイルは「よろしいのですか?」と淡々と尋ねた。


「だって、わたしが必要なんでしょ?」


「……はい」


蘭は布団から左手を出した。


その手首には包帯。


カイルがわずかに眉をひそめるのを感じた。


「わたしだって本当は自分を傷つけるようなことはしたくない。でもあそこにいると、わたしはどうしてもそうせざるを得なくなってしまう。
だからね、あそこから連れ出してくれたことに、むしろ感謝したくなるくらいなのよ」


室内灯に照らされぼんやり白く浮かび上がる包帯を、蘭はそれでも愛しげに撫でている。


そのときカイルは、蘭の中に潜む暗い闇に気付いたのかもしれなかった。


「では、我々の世界に来てくださることに否やはないと?」


「うん、ないよ」


それはカイルにとって意外なくらいの反応だった。


「元の世界に帰してほしい」と泣き叫ぶくらいは覚悟していたのに。


素直に受け入れてくれたことを喜ぶべきなのに、彼は逆に戸惑っていた。
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