久遠の絆
「蘭さまっ!蘭さまっ!」


強い力で揺さぶられ目を覚ますと、額にびっしりと汗をかいたニアスの顔が目の前にあった。


「しっかりしてください。すごくうなされてましたよ!」


体中が汗でじっとりしていた。


荒い呼吸がなかなか治まらない。


「恐ろしい夢でもご覧になったのですか?」


心底心配そうなニアスに、蘭は小さく頷いた。


「怖かった……」


父親の夢を見て怖いだなんて。


(やっぱりわたしの家庭は壊れきっている……)


そう思っても悲しくはなかった。


夢であって良かったという思いしか湧いてこない。


(わたしは異世界にいるんだ)


ここまであいつが追ってこられるはずはないから。


(ここにいる限り、わたしは大丈夫……。
死ぬことが許されないなら、わたしはせめて、わたしを必要としてくれるこの世界にいたいんだよ)




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