久遠の絆
◇◇◇






「やばかった……」


飛行艇のコックピットから這い出してきたのは、漆黒の髪と瞳を持つ男だった。


「燃料切れは想定外だったな」


砂の上に降り立ち、黒い機体を見上げると、それはすでに動くことのない金属の塊になっていた。


「とりあえず砂漠までは来た、と」


確かに、ここはまだ未開の地であり、追われる立場としては居心地の良い場所ではあった。


しかし。


「食料をどうするかだ」


砂漠の民の村が何処かにあると聞いたことはあるが、地図がないのだから行き着くのは容易ではないだろう。


カイゼライトたちがいつ来るのかも分からない。


「動くしかないな」


もう一度コックピットに戻り、非常用に常備されている水や乾パンなどを取り出す。


「これも、もって3日か」


それらを手に立ち上がり、不時着する前に見た街道の方へ足を向けた。


街道に出れば、比較的楽に人の住む場所に出られる。


そう考えたのだ。


そこで“シド・フォーン”の噂でも立って、それがカイゼライトや、或いは蘭の耳に入れば、言うことはない。


とにかく生き延びる。


それしかないのだ。


歩き始めてすぐ、シドは目指す先に砂煙が上がるのを見た。


それは次第に、こちらに近付いて来るようだ。


身を隠そうにも、ここは何も砂漠だ。


シドはホルスターから短銃を取り出し、安全装置を外した。


砂煙の中から洗われたのは一頭の馬。


艶やかな毛並みと美しい体つき、そして理知的な瞳を持った馬だった。


ひと目で、優れた血統の馬なのだと分かる。


馬上にはふたりの男。


ひとりは砂漠の民なのか、ターバンを巻いている。


もうひとりは顔を晒していた。


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