久遠の絆
どうやら蘭も、そして自分も、来るべくして、ここに来たようだ。


シドは素早く、正確に、この状況を理解していった。


そして、ここで自分の目指すべき所も。


もし、この反政府組織とやらがこの先力を付けたとして、それがヘラルドに対抗し得る程のものであったなら、もう一度這い上がることが出来るかもしれない。


ならば。


同盟軍の兵器・戦艦の漏洩も厭わない。


(俺を利用したこと、後悔させてやる)


この場にはいない、かつての腹心の参謀。


見抜けなかった自分に非があるのだろうとシドは思う。


憎んではいない。


またゼロからの出発になったことを己の糧と思えば、何度でも高見を目指すことが出来る。


それを知ることが出来たことは、むしろ感謝すべき、と思っている。


いずれにせよ、奴を、ヘラルドを討つまでは、前に進むことを止めることは出来ないのだ。


「蘭を瑠璃の巫女だと知っているのだな」


「ええ」


「俺はそれを、ヘラルドから聞いたんだ。瑠璃の指輪の力を使えば、確実に世界の覇者になれると。今にして思えば、それも偽りだったのかもな。俺も若かったのだ」


国にも家にも居場所がなくてふわふわとしていた時に、ヘラルドに囁かれた。


『覇王となる気はないか』と。


『あなたなら、その素質がある』と。


その時ヘラルドのすべてを信じた訳ではない。


だが自分にも、別の生き方があるのかと気付かされた。


だから、ヘラルドの口車に乗ってやったのだ。


その結果、いよいよ何もかもを失うことになってしまったが。


「自分でも、なかなか面白い人生だと思っている」


そう言って、シドは笑った。


そう。


彼はもう過去は見ていない。


ただ己の前に広がる未来だけを見ていた。


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