久遠の絆
「坊やって、何だよ!」


マトの拳を掴むシドの手に、ギリギリと力が込められていく。


「坊やを坊やと言って何が悪い。貴様のように、人に殴られたことのない甘ちゃんを坊やと言うんだよ」


「なっ!」


「邪魔だ。去れ」


マトにとっては、酷い侮辱だったに違いない。


自分の腕と共にシドの手を払うと、マトはシドを睨み付けた。


蘭はシドの腕から抜け出そうともがいているが、それをシドは許そうとしない。


「あんたはまだ蘭を自由にしないのか?」


「あの時とは事情が違う。今はただ、蘭の力になりたい。それだけだ」


「っ!蘭を守るのは、俺だ!」


「ふっ。青二才が」


いつも穏やかなマトが、これ程の怒りを露わにしたことはない。


額に青筋が立たんばかりだ。


「あんたが何を言っても、あんたが犯してきた罪は消えない。どれほどの人間を傷付けて来たか、考えたことがあるのか?」


シドは冷めた目でマトを見た。


「自分の理想の前に倒れた者たちを悼む気持ちはあるさ。だが、この世界がより良くなるための犠牲だ。それを悔やんでも仕方ない」


「あんたはっ!あんたに蘭を守る資格はない!」


二人の間で火花が散る。


シドにはシドの、マトにはマトの主張があるが、それはまったくの正反対。


相容れぬものだった。


一触即発。


その激しさに、蘭は一人怯えていた。














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