久遠の絆
「あれ、シド。何か、怒ってない?」


マトの言葉にシドを見ると、確かに思い切り不機嫌な顔をしている。


「シ、シド。どうしたの?」


「別に」


「あ、分かった。マトと蘭が仲良しだから、妬いてんでしょ」


「え?」


マヤの指摘が図星だったのか、見る間に赤くなるシド。


「やっぱりね」


「何がやっぱりだ」


さらに不機嫌に顔をしかめるシド。


それを見て、マヤがぽつりと呟いた。


「漆黒の総帥のイメージ、全然違ったな」


人間らしい感情など持ち合わせていないと思っていたのに。


こうやって同じ時を一緒に過ごすようになると、違った面がたくさん見えてくる。


だからと言って、遺恨が消える訳ではないけれど。


近付いてみないと分からないことはたくさんあるのだ。


「カイルさんはまだ?」


「うん」


皆が今登ってきた登山道の方へ目をやった。


「あの足だから、大変だよね」


マヤが痛ましそうに目を細めた。


「でも、カイルのことだから絶対来るよ」


「だよな。意志の強い人だもの」


蘭の言葉に、マトが頷く。


シドもまた同じ思いなのか。


風の吹き荒む登山道をじっと見つめていた。

< 757 / 810 >

この作品をシェア

pagetop