久遠の絆
しばらくすると、風が弱まってきた。


シェイルナータとイーファンの戦いが終息したのか。


そこへバチッと音がして、目の前の空間に裂け目が入った。


「え?!」


すわ、シェイルナータか。


一同に緊張が走る。


しかし、その空間に裂け目から出てきたのは、イーファンと、カイル、ニアスの三人だった。


「ななな……」


驚き過ぎてどもる蘭を、イーファンは不思議そうに見ていたが、「ああ」と、ようやく合点がいったように頷いて、

「シェイルナータの真似をしたら、私にも出来たんですよ。それで、苦労しておられたカイルさんも連れて来てあげた、という訳です」

とのたまった。


「だったら!」


「俺たちもわざわざ苦労して登って来ること」


「なかったんじゃない?!」


「ええ、そうですね。そんな声が起こることは十分予想していましたけど、皆さん、若くてお元気な方ばかりなんですから、たまには登山も宜しいじゃないでしょうか。ね?」


イーファンは悪びれもせず、にこにこしている。


シドが大きな溜め息を吐いた。


「さあ、お喋りもこのくらいにして急ぎましょう。シェイルナータがナイルターシャを連れて神殿に向かったんです」


「え!」


そう言えば、あれだけの風だったにもかかわらず、イーファンに目立った怪我がない。


そう言うと、イーファンも複雑そうな顔をした。
 

彼は神殿へと向かいながら、

「どうも、シェイルナータには私を倒そうとか、そんな意思がなかったようなんですよ。まったく殺気がなかった」


「どういうことですか?」


「私を攻撃しても益がないと思ったのかも知れません。油断はしないで下さいね」


「は、はい」


瑠璃の巫女や守護者には、攻撃してくるかも知れない。


イーファンはそう思っているようだ。


蘭は緩みかけた緊張を、もう一度引き締め直した。


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