久遠の絆
パッと視界が変わった。


暗闇よりは明るい空間に戻って来た。


目を覚ました蘭は、心配そうに覗き込む皆の顔を見回した。


「どのくらい眠ってた?」


「そんなに長い時間じゃない」


シドがほっとしたように答えた。


「そう」


そして蘭はイーファンへと視線を移す。


「セイアさんに会ったよ」


イーファンは瞠目した。


「セイアに?どういうことです?」


訳が分からないと言うイーファンの瞳には怒気が見られた。

セイアのことは、彼にとっては禁忌にも等しいことだから。


そんな彼に、蘭は笑顔で告げた。


「ほんとだよ。一緒に来てる筈なんだけど」


『ここじゃ』


背後から掛けられた声に一斉に振り向いた。


『さっきからずうっと、ここにおるではないか』


「セイア……」


イーファンのかすれた声が、彼の驚きを物語る。


それはそうだ。


故人である恋人が、目の前に立っていたのだから。


対してセイアは、泰然として佇んでいる。


「セイア、何故?」


『わらわは成仏出来ぬまま、さ迷うていた』


「成仏?」


聞き慣れない言葉に、イーファンは首を傾げた。


『まったく違う世界の人間に懸想して、挙げ句の果てには自ら命を絶った。こんなに罪深い者は成仏出来なくて当然じゃ』


「セイア。言ってる意味がよく分からない」


『何故、そなたに恋焦がれたのか。何故、ヘラルドを拒めなかったのか。わらわの半生は悔いばかりじゃ』


「……」


『でも……。そなたが好きじゃ。イーファン。好きで好きで、たまらぬ……』


「……」


『ごめんなさい』


「!」


『ごめんなさい。イーファン。もっと、ずっと一緒にいたかった』


「セイア」


イーファンはセイアを抱き寄せようとした。


だが、彼の腕は彼女の体を通り抜けてしまった。


霊魂であるセイアを抱くことは出来ない。


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