久遠の絆
「私はようやく会えたあなたを抱くことも出来ず、おめおめと生き長らえている。謝るのは私です、セイア。この長き生は、あなたを護ることの出来なかった、私への罰だ」


セイアはふるふるとかぶりを振った。


『違う。悪いのは全部わらわじゃ。イーファンが悔いることはない』


セイアは腕を広げると、ふわりとイーファンを包み込んだ。


「セイア?」


『ほら、これでいい』


生身の温もりのないのがもどかしい。


けれどそれが、彼らの精一杯の触れ合いだった。


『大好き、イーファン』


イーファンの頬に、一筋の涙が伝う。


「セイア。あなたのすべてを愛してる」


罪も罰も、彼らを隔てる生死も関係なく、それが彼らの素直な気持ちだった。


『長い遠回りをしたけれど、これからはずっと一緒だよ』


「ええ、そうですね」


取り戻せない物はたくさんあるけれど、今の彼らは確かに幸せだったのだ。




蘭はぐいっと涙を拭った。


泣かないと決めたのに、自然に涙が出てくる。


セイアの哀しみを、イーファンの苦悩を知るからこその涙だった。


「良かったね、イーファンさん」


そう声を掛けると、突然イーファンの身体が輝いた。


ぽわんぽわんとしゃぼん玉が飛び出すように、彼の身体から光の玉がひとつ、またひとつと飛び始める。


「イーファンさん?!」


みんなが一斉に驚きの声を上げたが、当のイーファンは平然としていた。


「どうやら、私の命が尽きようとしているようですね」


「え?!」


「セイアと共にあるために」


「そんな、イーファンさん!」


「蘭さん。シャルティによろしく。出会えて良かったと」


「自分で伝えてよ」


「そのような時間はないようですから。お願いします」


話している間にも、飛んでいく光の玉は数を増やしていく。


それにつれて、イーファンの身体は徐々に半透明になっていった。

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