久遠の絆
(わたしには何も出来ないの?)


皆が傷付くのを、ただ見ているしかないのか。


蘭は悔しくて、唇を噛んだ。


「もっと手応えのある奴はいないのかい?」


とどめとばかりに、光の帯が途切れることなく次々に繰り出された。


弱っている障壁など役には立たなかった。


蘭を庇う手立ては最早なく、彼らは光の帯をその身に受けたのだ。


激痛に襲われたが、悲鳴を上げることも出来なかった。


後にはぐったりと横たわる蘭たちの姿。


「こんなものなのかい?」


つまらないとでも言いたげに肩をすくめるシェイルナータだった。


「もっと楽しませてくれるものと思ってたんだがね」


シェイルナータはゆっくりと蘭に近付いて行った。


呻き声すら上げない蘭を見て、眉をひそめた。


「死んだのかい?とんだ見込み違いだったよ」


シェイルナータは蘭の顔に手を伸ばし、頬に触れようとした。


彼女はさほど傷付いていないようだ。


「触るな。そいつに触るんじゃねえ」


「おや。銀の守護者は、まだ見込みがあるかい?」


シドが起き上がっていた。


「守護者たる者、これで終わる訳にはいきません」


そしてカイルも。


秀麗な顔に出来た傷口を拭いながら、起き上がった。


「ふふ。そうでなくては」


金の指輪と銀の指輪が、シェイルナータに向けられた。


「さあ、どこまで指輪の力を引き出せるのか、見せておくれ」


金と銀の光が溢れ出す。


だが、その光がシェイルナータを襲うことはなかった。


寸前で、カイルもシドも腕を下げてしまったからだ。


「どういうことだい?」


不敵に笑いながら、シェイルナータが尋ねた。


「それはこっちの科白だ」


「ええ、そうですよ、シェイルナータさま。あれだけの攻撃をしておきながら、何故あなたからは殺気が感じられないのです?」


シドとカイルの問いに、シェイルナータはぷいっと横を向いてしまった。



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