久遠の絆
「つまらないねえ。ほんとにつまらない。さすがは、元帥どのに、漆黒の総帥って言ったところかい?」


「どういうおつもりです?シェイルナータさま」


「イーファンは自分の寿命が近付いていることが分かっていた」


「?」


「ここでセイアに会わなくても、遅かれ早かれ、命が尽きることに違いはなかったのさ。だがね。お前さん達は知らな過ぎる。少しでも知識を与えておかなきゃならない。そう考えたのさ。どこまでも真面目な奴だよ。まったく」


「だから、どういう意味だよ」


「その子を連れて、こちらにおいで」


その子とは、当然蘭のことだ。


そう言うと、シェイルナータは奥の扉へ向かった。


シドは蘭を横抱きに抱え上げた。


いまだ気を失ったままの蘭は、彼の腕の中でぐったりとしている。


「部外者は来るんじゃないよ」


マトとニアスも行こうとしたのを、シェイルナータは遮った。


「部外者って。カイルさまは僕がいないと」


「ここから先は、立ち入り禁止だよ」 


「ニアス。待ってなさい」


カイルに言われてしまっては、ニアスもこれ以上は言えなかった。


「シド!蘭を頼んだぞ!」


マトの声に、シドは蘭を抱えたまま手を振って見せた。


扉の向こうに四人が消えると、ギギギと軋む音を立てながら扉が閉まった。






これが今生の別れとなることを、彼らはまだ知らない。










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