久遠の絆
☆☆☆






声を掛ければ、同盟からの離反者が相次いだ。


ゲルシュ・グレンに賛同した者たちだ。


皆、ヘラルドのやり方には不満を持っているのだ。


結果として、南の大陸の半分の国が、アトゥマの叛乱軍に加わった。


「これだけの艦隊が編成できれば、いけるかも知れねえな」


グレンはシャルティにそう言った。


「だが、あちらには強力な兵器があるんだろ?」


シャルティはグレンほど楽観は出来ないらしい。


「そいつを奪っちまうってのは、どうだ?」


「また、無理そうな話だな」


「ふ……。やってみる価値はある」


「何か考えが?」


「別働隊だ」


「別働隊?」


「カイゼライトにやってもらう」


「……シド・フォーンの兄貴だな」


「そう。あいつには、海賊というゲリラ戦を得意とする知り合いがいる。そいつに協力を仰ぐのさ」


「まだ、机上の空論に過ぎんな」


「何事も、やってみなくちゃ分からん。俺は、それで数々の戦線を潜り抜けてきた」


「戦のことに関しては、俺は素人だ。あんたに任せるよ」


「よし。では、さっそくだ」




グレンの去った部屋で一人、シャルティはまだ何かを考えている。


巫女姫の村に向かった一行のことも気掛かりだった。


(イーファン。それに、蘭。皆、無事でいるだろうか……)




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