ホテルの“4つのクリスマスストーリー”

付き合って7年、同棲して2年。わたしたちは、誰もが認める超安定型おしどりカップルだ。

周りから結婚秒読みと言われて数年が経つ。お互いの親にも紹介し合っているし、わたしは彼の親に少なくとも嫌われてはいないと思う。

なのに今日まで、彼が結婚の話を持ち出してきたことはない。

彼は良い意味でも悪い意味でも未練や執着とは無縁の人で、優しいけれど本当に掴みどころがなく、長年連れ添った今もわからないことや距離を感じる瞬間が山ほどある。

思い返せばわたしたちのあらゆることは、常にわたしが半ば強引に決めてきた気がする。

たまにひとりで恋愛している気分にすらなるくらいだが、彼のあっさりしたところを本能的に魅力と認識してしまっているわたしには、この現実に太刀打ちのしようがなかった。

独身の友人だって沢山いるし、結婚していなくてもみんな楽しげに生きている。

それにわたし自身「いつもと同じ」状況が今日も変わらず続いていることに、ほっとする気持ちがあるのも確かだ。

けれど、わたしたちの未来についてどう思っているのか、そもそも「わたしたち」なのかそうじゃないのか。

少しくらい示してくれてもいいじゃない。

ずっとそんなもやもやを抱えていたわたしは、お互い30歳になる今年度に淡い期待を抱かずにはいられなかった。

彼からふたりの将来について話をしてくれる日が来ると信じて過ごしてきた。

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