ホテルの“4つのクリスマスストーリー”
クリスマスイヴの日、切腹前に正装する侍のような気持ちでいつもなら絶対に着ない白のシフォンワンピースに身を包んだ。
どうせひとりでめかし込むことになるのだろうと思って彼を見ると、シャツにジャケットというピシっとした格好で立っているから驚いてしまった。
釣り合いを意識したのだろうか。いつになく男前だな、なんてついつい見惚れてしまう。
「随分ちゃんとした格好してるじゃん」
『そっちだって』
「たまには、いいね」
『うん、恒例にするか』
いい返事をくれたらね・・・。
今にも口から出そうになる言葉をそっと喉の奥に仕舞い込んで、涙も堪えて、行こうと彼をうながした。
日比谷線に乗って恵比寿駅で降り、ガーデンプレイスを目指す。
「きれー・・・」
時計広場にはパリのマルシェのような空間がつくられ、周辺の木々にはイルミネーションが施されている。
ゴールドの細かな光に混ざるオーナメントの赤と緑が、王道のクリスマスを演出していた。
出店でわたしはマシュマロの入ったショコラショー、彼はホットワインを買い、広場のベンチに腰掛ける。