ホテルの“4つのクリスマスストーリー”
『あったかいね』
「・・・うん」
『寒くない?平気?』
「平気・・・」
『ここ、なつかしいね。人ごみが嫌いなくせに、ウェスティンのクリスマスツリーが見たい、っておれのこと無理矢理連れて来たよね』
あまりにも言葉少ななわたしに異変を感じたのか、どちらかと言えばいつもは口数の少ない彼が、今日はやたらと話し掛けてくる。
緊張と不安の海に溺れそうになりながらそんな気遣いに触れると、先に自分の涙の海で窒息してしまいそうだ。
「伝えたいことがあるの」
始めてしまった。この人を、失いたくないのに。
心臓の鼓動がうるさくて、気分が悪くなってくる。もういい、どうにでもなれ。
わたしは玉砕の覚悟で口を開いた。
「わたしたち、付き合ってもう7年経つでしょ・・・そろそろ未来のことをね、考えてもいいかなーって・・・
きっと答えは出ないだろうけど、わたしはもう待てないから・・・
・・・だから言うね」