ホテルの“4つのクリスマスストーリー”
彼はわざとらしく咳払いをしてからわたしの手を取り、いつの間に用意したのか小さなジュエリーボックスを上着のポケットから出した。
『おれと・・・あ、こういう時は“ぼく”か』
そして蓋を開け、きらきらと輝く約束の証をわたしに見せびらかす。
『ずっと一緒にいたいから、ぼくと結婚してください』
すでに涙で霞んでいたわたしの目にはその輝きがホログラムのように拡張して映り、夢の中にプカプカと浮いているような気分だった。彼の格好良いジャケット姿も、目に焼き付けておきたいのにぼやけてしまってよく見えない。
「うう・・・嬉しい・・・」
『してくれるの?してくれないの?』
「する、します。お願いします」
『ああーよかったー!まじで緊張したー・・・』
彼はヘタリと床にしゃがみ込んで表情を隠すように顔を手で覆った。少ししてから再びわたしへと向き直り、顔を真っ赤にしながら取り出した指輪をわたしの薬指に通す。
『じゃあ、よろしくお願いします』
「ありがとう。こちらこそ、これからもよろしくね」
今夜からは彼と一緒の未来を前提に生きていいんだ・・・。
そう思うと、この上ない幸せに包まれた。
