100回の好きの行方
「ちょっと騒ぎすぎじゃないですか~?」

 不穏な空気をイラッとさせる猫撫で声で、現れたのは菜月だった。

 手には今までロビーで花を生けてましたと言わんばかりに、ハサミを持ち、ため息をつきながら自分のデスクに座る。

「深山……。こんなときに何してたんだ?」

 物凄く低い声が佐伯からでてみんな、驚いた様子をするが、本人はお構いなしに、髪の毛を指でクルクル弄びながら話す。

「何ってロビーの花を生けてましたよ。もちろんインタビューも受けましたけど。」

 その言葉にみんながギョッとした顔をする。

「インタビューって何を答えたの!」

 あかねが詰め寄るように聞くと、フフと笑いながらとんでもないことを言ったのだ。

「デザイナーは私です。盗作と騒がれてますけど、それが事実なら盗作されたのは私の方ですって。」

ーバンっ!!ー

 その言葉に篤人が乱暴に机を叩いて、菜月に詰め寄った。

「あれはお前がデザインしたものじゃない!」

「そんな証拠ないじゃない。」

「あれは、工場長の娘さんのために、麻嘉がデザインしたんだよ!」

「だから、それこそ証拠がないわ。私が暖めていたデザインを朝霧さんが使ったんだわ。」

 
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