サンタクロースは君だった
「い、いつも私ばっかり赤くさせられてるから…レオくんもたまには赤くなれば…いい…。」
「たまにじゃないよー。ひかりちゃんとのLINEとか電話とか、どんだけにやけてるか知らないでしょ、ひかりちゃん。この前うっかり実弥に殴られそうになったんだからね?」
「殴る!?」
「うん。のろけんなって。」

 頭を掻きながら笑うレオの頬はまだほんのりと赤い。
 さて、今度はひかりの番だ。今日の質問。実は、とても真剣に考えてきていた。ひかりは鞄の中のポーチに入れておいた合鍵を取り出した。

「…ひかりちゃん?」

 勇気の塊が、今欲しい。

「っ…。」

 たくさんの気持ちをくれる人。たくさんの笑顔をくれる人。そして何より、離れているとすごく寂しい気持ちにさせる人。だから傍に、いてみたい。そのために、今とても勇気が必要だ。

「合鍵を…使わせてもらっても、いい、かな?」
「え?」

 レオはひかりの言おうとすることの意味が正しく受け取れず、首を傾げた。

「それはどういう…?」
「…ここ、に…いさせてほしい、…というか…。」
「え…えぇ!?一緒に住んでくれるの!?ほんとに!?」
「…レオくんが、嫌じゃ、なければ…。」

 しどろもどろにも程がある。情けない。もっとスマートに言いたかった。色んな気持ちがあるけれど、今目の前で喜びを前面に表すレオがいるだけで、その情けなさも払拭される。

「嫌なわけないじゃん!大歓迎だよ!部屋も一つ余ってるし、そこはひかりちゃんの自由にしていいところにするね!え、ほんとに?ねぇ!?ひかりちゃん、ほんと?」

 ひかりはコクコクと頷いた。

「ありがとう!大好き!」

(その大好きに、大好きとまだ返せないけれど。それでも傍にいたいなんて、我儘だな、私。)
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