ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side3

弱々しい朱鳥をギュッと抱きしめる。

微かに震えているのが伝わってくる。

俺は、朱鳥に優しく言葉を掛けながら、朱鳥を抱きしめた。

普段は、元気な朱鳥だけど、治療中は、とても弱く儚げに見える。

少しでも、強く当たったら朱鳥の心は壊れてしまう。

副作用による辛さ、悪夢、それに、それを紛らわせる事が出来ない事。

それらが重なって、朱鳥はすぐに泣いてしまう。

可哀想なほど、苦しんで、それでも必死に我慢して……

苦しさを紛らわせるために眠るも、悪夢を見て、また苦しんで……

本当は、ダメだけど、たまにこうやって、抱きしめてあげないと、朱鳥は壊れちゃうから。

朱鳥は、全部自分で溜め込んじゃう。

辛いことも苦しい事も全て我慢しようとする。

それで、ストレスが爆発して、泣いて、泣いて、泣き叫ぶ。

それを見るのは、正直辛い。

だから、その前に少しずつ、吐き出させてあげて、解決してあげるのが大事。

朱鳥は、1度壊れちゃうと、全てふさぎ込んでしまう。

それに、自傷行為をすることも少なくない。

朱鳥の場合、いろいろな病気も重なって、それはすぐに死に繋がる。

今までは、偶然、陽向が駆けつけてくれたりしたお陰で死は免れた。

だけど、今後はわからない。

そんなに偶然が重なるかもわからない。

だから、そんな事になる前に俺が防がなきゃ。

ガラスのように脆い朱鳥の心を守ってあげなきゃいけないんだ。
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