神恋〜恋に落ちた神と巫女〜


『汚らわしい小娘がこの水無月神社へ足を踏み入れようとは』


『母上、もう止めて下さい。この女性は私の愛する女性です』


右京の言い分は聞かず、右京の母親は桔梗を洞窟の穴へ放り込み大きな岩で出口を閉ざしてしまいました。


そうなのです。


ここでは、自分の意見は通らない。
“親の言うことが絶対”と言うルールが鉄則だったのです。


恋は愚か、ましてや結婚なども自分で決める事は許されなかったのです。


『出してください‥!お願いです‥!右京様‥!右京様‥!!!』


その晩は、雨が激しく降りとても冷え込む夜でした。


閉ざされた洞窟からは、桔梗の泣き叫ぶ声だけが響いていました。


右京はどうする事も出来ず、親の言う通り部屋で一人じっと静かにする事しか出来ませんでした。


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