吐息のかかる距離で愛をささやいて
その後、私たちは、すっかり冷えてしまったパスタを苦笑いをしながら食べた。


瑞穂の出産祝いの下見もしたけど、ほとんど涼子の買い物に付き合わされた感じになった。



私にも何か買えとうるさい涼子のせいで、服が2着ほど増えた。


予想外の買い物だったが、やっぱり新しい服はテンションが上がる。



夕方、これから彼氏とデートだという涼子と別れて私は、駅に向かった。




自分の気持ちに素直になろう。



そんなこと考えてながら歩いていると、人ごみに見覚えがある姿が目に入った。



その姿を見た途端、私の頭は真っ白になった。




俊がいた。



俊は、遠くから見てもわかるくらい綺麗な女の人といた。


そして、二人の間には、両方の手を二人にしっかりとつないで歩く女の子がいた。



女の子が立ち止まって、俊を見上げて何か話しかけている。



俊は、少し身をかがめて、女の子の話を聞いている。それから優しい笑顔を向けていた。




その後、どうやって家に帰ったかも覚えていない。


ただ、家に帰った後、どうしてここに帰ってきてしまったんだろうと後悔した。




自分の部屋についた途端、涙がポロポロとあふれた。



『自分に正直になりなさい』


涼子の言葉が頭をよぎる。



・・・・無理だったわ。



私はもう、自分の気持ちを向き合えない。




どれくらいそうしていただろう。


気が付くと、スマホのランプが点滅していた。



無意識に確認して、私は、思わず目をつぶった。


俊からだった。





【ごめん。今日は帰れない。】
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