密かに恋焦がれて
「それで琴美はこの子と逢えるように誘ってくれないかな……」
今日の日を楽しみにしていた。
作ったものをヒロが美味しいって言ってくれるかなってウキウキしていたのが馬鹿みたいだ。
ここにいるのが苦しくて……早くここから去りたい。
真奈美に逢わせるために飲みに誘う話しが纏まると帰ることにした。
「じゃあねヒロ」
「おう!頼むな」
「うん」
ぎこちない笑みを何とか浮かべると入口まで兄に送られながら歩いた。
「そこまで送ってく」
「大丈夫だよ」
「暗いから一緒に行く」
暫く何も話さずに無言で歩いていたけれどお兄ちゃんは「琴美……」と名前を呼んだあとまた黙ってしまった。
あとを続ける気があるのか話すのをやめたのか……判断のつかないなか自分から聞いた方が良いかと今度は琴美が訊く。