密かに恋焦がれて

日曜日、島崎とのデートのため支度を済ませた琴美は前の晩から泊まりに来ていた康成と自宅を出た。

「出るの早かったか約束の時間より早く着くかもな。ヒロに用事があるんだちょっとお店に寄っても良いか?」

「えっ……」

「知り合いが結婚するんだけど式は挙げずに身内だけの簡単なパーティーをするらしい。友達が花屋だって話したら借りた会場を飾る花と花嫁さんのブーケを頼めるか聞いてほしいそうだ。ヒロに連絡し忘れてたから話しだけでもしときたい」

「解った……私は外で待ってる」

「悪いな。直ぐ済むから」


あの日ヒロが真奈美をどれだけ想っていたのかは充分過ぎるほど思い知らされた真奈美のためならあんな行動もできる……。


ヒロに想われてる真奈美が羨ましかった。
ずっとヒロの前では気持ち隠して偽って告白すらできない。
ダメだな私……
真奈美が社長に連れてかれた後のヒロの苦しそうな顔を思いだすたびに息苦しくなってそれから私はお店の前を通れなくなった。

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