密かに恋焦がれて
「じゃあ食べるか」
「うん、いただきます。美味しいよこれ……こっちもお兄ちゃん腕あげたね」
「そうか」
来訪を知らせる音が鳴り康成は対応するのに離れた。
場所はあまり離れてないためインターホンからは相手の声が聞こえる。
ドキッとしたヒロの声だ。
持っていた箸を置きキッチンの方に片付けると帰り仕度をしている所へ康成は戻って来た。
「帰るね」
「まだ食べてる途中じゃないか」
「ヒロ来るんでしょ?私、帰る」
「ヒロが琴美と話しがしたいと言うから今日ここへ呼んだ」
「今はヒロと顔合わせられない」
「だいたい聞いてる。逃げたってどうしようもないだろう」
「でも恐いの。ヒロに逢うのが恐い」
「それでも、ヒロと話した方がいい」
康成に説得された琴美はバッグを置きヒロが来るのを待った。
「お兄ちゃん!どこに行くの?」
入ってきたヒロと入れ代わりに康成が出ていこうとするのに気づくと琴美は引き止めた。
「俺がいると話せないだろ。今日は家に帰る朝まで戻らないからゆっくり話せ。琴美の事はうまく言っとく」
「朝まで戻らないってそんなの困るよ。お願い置いてかないでよ」