追い詰められた...かぐや姫
ハッハッ......

後を振り向いて確認すると追ってはいなかった。

上手くまけたかな。もうこのまま帰ってくれればいいのに。

「お父さん、お母さん大丈夫?」

肩で息をしている2人に声をかける。

2人とも疲れて喋れないようだし、近くに休めそうなとこあるかな.......


そう思い周りを見渡すと数メートル先に公園があるのが分かった。

そこで休もうと思い、3人で公園まで行った。


2人はベンチに座って息を整えていた。

私はこれからどうしようかと考えていた。


きっとすぐ見つかってしまう。
というか16年も地球にいられた方が不思議なのだ。

どうしよう。でも逃げてしまったのだから、最後まで逃げ切らないと......

捕まってしまったら.......そう思うとゾッとした。


「姫乃.......月に...帰った方がいいんじゃないかしら。また戻って来ればいいんじゃないのかしら。どうせ逃げきれないのだから。」

お母さん違うよ!

「もし捕まってしまったら…今度こそ脱走なんてできないよ!もう二度と逃げられなくなってしまうっ!」



その時だった、後ろから抱き抱えられたのは......

「きゃっ!なにする...の。」


私の目の前のベンチには2人が座っていた。
こんな夜中に親の前で襲う人間なんていないだろう。

じゃあ、後にいるのは.......


「お迎えに上がりました。」

あいつしかいない。
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