この恋を、忘れるしかなかった。
そのどれもが、懐かしい風を感じさせてくれて、高校生に戻ったような気分にさせてくれた。

もちろんそれは本当に気分だけの話で、女の子たちの短いスカートから出てる生脚を見るだけで、歳とったなぁなんて思ったりするし、家に帰ればすぐに現実に引き戻される。
まるで何もなかったように、泡になって消えてしまうんだ。

それでもあの時ーーー罰ゲームだろうが何だろうが、わたしの心が高揚したのは紛れもない事実だった。


「……」

”オレ安藤先生のことマジ好きだわ!”
わかってる、2回目のそれも恋愛感情あっての言葉ではないことくらい。

わたしが絵を褒めたから、ただそれだけ。
今の子供たちは、何の気なしに好きとか言えちゃうんだろうなぁ…。
いちいち気にしてるこっちがバカみたいに思えてくる。

”オレ…、安藤先生のこと、好きなんですけど”

それでもわたしは、この言葉を忘れられないでいたーーー…。

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