それはきっと、君に恋をする奇跡。


……。


あたしはもがくことすらしないでそこで立ち止まったままだった。


キライになりたいと思ったくせに。


楽しかったハルくんとの思い出に浸って、変わってしまったハルくんを認めたくなくて。


もがくこともしないで、浮上なんてできないのに……。



「泣きたいときには、俺が側にいてやるから」


「……」


「俺が陽菜を笑顔にするし、元気が欲しけりゃいくらでも歌ってやる」


「……」


「だから、好きだった人を嫌いになるなんてツラいことしようとするな」



……水瀬くん……。


言葉のひとつひとつが、胸に優しく響いて行く。



「そうだ、俺が陽菜のビタミンになってやるよ」



真剣だと思ってたその瞳が、ふいに柔らかく崩れる。



「ぷっ……」



一昔のギャグみたいで、思わず泣きながら吹き出した。


ほんと面白いこと言うよね、水瀬くんて。

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