それはきっと、君に恋をする奇跡。
そんな簡単に名前でなんて呼べないよ!
ハルくんでさえ"くん"付けだったし、男の子を名前呼びするなんて初めてだもん。
「そこ躊躇するとこじゃねえだろ。クラスの女子もみんな呼んでんだし」
……そうだよね。
べつに特別なことじゃないんだ。
意識するほうがおかしいか。
「分かった。蒼って呼ぶねっ……」
「よろしい」
勢いで言うと、蒼はポンと頭の上に手を乗せてきた。
そういえば、よくこの仕草をするよね。
この距離感だと、ちょうど手を乗せるのにいい位置なのかな?
大人にあやされてる子供みたいだけど……。
まあ、いっか。
───"間もなく、1番線に電車が参ります"
あたしの乗る電車が来るアナウンスがホームに流れた。
ベンチに座っていた人たちが腰をあげて、黄色い線の手前に並びだす。