会いたい
ちょっと、遅めの昼ごはん。

「炊飯器、買おうかなぁ」

MAKIDAIが呟く。

「そうだね、パックのご飯じゃ、寂しいね」

普段料理をしないMAKIDAIの家には、電子レンジとコーヒーメーカー位しかない。

「この肉じゃがを炊きたてごはんで食べたい」

MAKIDAIは、箸でつまんだホクホクのじゃがいもをみつめてそう言うと、パクリとほうばる。

「お鍋一つじゃ、おかずとご飯は一度には作れないしね、炊飯器くらいはあってもいいかな」

慣れないキッチンの少ない道具で食事の準備をするのは、いくら料理上手の楓でも大変だ。

「今度、一緒に買いに行こうか?」

「うん」

やりたい事は次から次へと思い付く。

食事を食べ終わり、食器を片付けながら、楓がMAKIDAIに聞く。

「そう言えば、テレビのお仕事、いつから復帰するか決まった?」

MAKIDAIは、リビングのソファから返事をする。

「うん、テレビは、再来週からの予定だよ」

「そっか、再来週なんだね」

MAKIDAIは、楓の顔色をうかがう。

「なんか、もっとリアクションあるのかと思ったけど、普通だね」

「え、そんな事ないよ。たった一カ月で復帰なんて、さすがMAKIDAIさんだなって思ってるよ」

「んー、他にもなんか考えてたでしょ?」

「んー…他に?他には、そんな早く復帰して、大丈夫なのかなぁって」

MAKIDAIは、その答えでは納得しない。

「あとは?」

「あと?あとはー…」

「今思ってる事、正直に言ってみて」

楓は、観念して白状する。

「うん…、正直に言うと…、復帰したら、こんな風に二人でのんびり出来る時間が無くなるんだなって。でも、MAKIDAIさんの復帰なんだから、もっと喜ばないとダメなのに、こんな子供みたいなこと言ってちゃダメだなぁって思ちゃった…、ごめんね」

MAKIDAIは、優しく微笑む。
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