神様修行はじめます! 其の五
「あら、アマンダはこの屋敷に泊まりませんの?」


「あたしはこっちの世界に実家があるもん。自分ちに泊まるよ」


「そうじゃのぅ。なんにせよ永久を探し出して事情を追及せぬうちは、どうにもならぬ。今日の所は皆、ゆっくり休むがよい」


 うん。なんせ初めて来た現世だし、しかも夜だし、みんな疲れているし、これ以上あちこち動き回るのは得策じゃない。


 門川君も水園さんを連れている以上、いきなり大胆な行動には出ないはずだと思うし……。


 …………。


 ふたりが、この現世のどこかにいる。


 馴染みのない世界で、追われる立場として、お互いに身を寄せ合って一晩を過ごすんだろうか……。


 その姿を想像すると、胸の奥が灼け焦げるようにジリジリと痛む。


 嫉妬の炎が青白く燃えあがって、氷に触れたような冷たい刺激を伴い、心を侵食していく。


 あたしは首をブンブン振って、その息苦しさと痛みに懸命に耐えた。


 落ち着け。たとえどんな現実がいま進行しているとしても、あたしがすべきこと、できることはひとつだけなんだ。


 憶測ではなく、事実を確かめ、それを受けいれて最も正しい方向へ進む。


 あたしにはそれができる。……だってひとりじゃないから。


 だったらあたしは、いま自分ができることのみに意識を集中していればいい。


 のたうち回って苦しむことも、死ぬほど嘆き悲しむことも、後でいくらでもできるんだもの……。


「門川君の本格的な探索は、明日からだね。じゃあ、また明日来るからね」


「うああ~~」


「って、コラしま子しま子しま子? なに張り切って立ち上がってんの? まさかあたしと一緒に、我が家に泊まるつもりですか? 無理ムリ」


「うあああう!」


「怒ってもダメ」


「うおおぉうぅ~~……」


「泣いてもダメ」
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