第3者恋
なんで?!


だって、水着を買いに行った時に“ありがとう”って言ったよね?


あれってここに居れて良かったって思ってたんじゃないの?


「私はずっと天然を装って演じてた。そんな人は嫌じゃん…?でも、これでお別れだから。こんな嫌な人間とも顔を合わせなくていいんだよ…!」


と言って華奈はニコッと笑った。


そんなの私も、華奈も…誰も望んでない!

演じてたって構わないけど、
離れるのは1番嫌なの!


「そんな…「それは春野さんが本当に望んでいる事?」

「…は、ぃ」

「本当に?」


その声は今までで1番怖かった


そしてその声の正体が水永先輩だったなんて思えなかった。


あんなに優しくて大人っぽく、型月との時ですら怖くなかったあの水永先輩が…、

華奈に、好きな人に向かってキレていた


「分かってたなら、もっと前から山崎さんや神坂さんから離れたら良かったじゃん」

「!…、それは…」

「もう決まってんじゃん。離れたくない、ずっと居たいんでしょ?」

「それが許されるなら…、誰もこんな事しません。」


珍しく華奈も全く譲ろうとしない。こうなるとお互い正論を言った方が勝つかな


華奈はあれで頑固だから1度決めると曲げようとしないんだよね…


「許すも何も誰も怒ってないじゃん。」

「今、水永先輩は怒ってるじゃないですか…」


「そりゃね。だって春野さんの本心じゃないから。

夏祭りの時に俺に話したじゃん。
本当に春野さんがそう思ってるなら、俺から離れてるはずでしょ?

でも、実際には離れてない。


もう答え決まってるじゃん」


そうだ。
離れる事が本心ならばもうすでに離れてるはずだ


最初から離れたくなかったんだろーね


だから笑顔で毎日過ごしてたんだと思ってるよ、私は!


華奈はそれを聞いて泣き崩れた。
もちろん水永先輩が支えてくれたんだけど…。
< 67 / 160 >

この作品をシェア

pagetop