君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜



きゆは病院の駐車場に車を停め、そして、不機嫌過ぎて落ち込みモードになっている流人に優しく声をかけた。


「流ちゃん、着いたよ。
もう、余計な事は考えないで、今日はゆっくり体を休めなきゃ」


流人はそれでもシートから起きようとしない。


「あのマッチョに早く教えた方がいいかもな…
俺ときゆはこの島から出て行くんだって…」


きゆは大きくため息をつき、自分の座席も流人と同じ位置まで下げ、そして流人との方を向いて横になった。


「流ちゃん、私はこの島から出て行かないし、流ちゃんとよりを戻そうとも思ってないの。
だから、瑛太にも島の人達にも余計な事は言っちゃだめだよ。
こんなに小さな島なんだから、あっという間に噂になって広がって、もうたいへんな事になっちゃう」


流人は話している途中のきゆの口を指でつまんだ。


「そんなこと、どうでもいいし。
俺が決めたことは何があってもくつがえらないって知ってる?

きゆは俺と一年後には帰る。
それは島の人総出で反対してきても、何も変わらないんだ」


きゆは流人の顔をぼんやり見ていた。

……だったら、何であんな事したの?






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