御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
メールから顔を上げると、係長と視線がぶつかる。
席に戻って、すぐにメールをくれた。それも私が不安にならないように。



ヤバい、幸せがじわじわ浸透して来て顔に出ちゃう。



「‥‥なんか、野暮な事してる気分になったから席戻るわ」

私と係長を交互に見た知恵ちゃんが「バカらしい」と呟いた。



知恵ちゃん、ごめん。でも今の私はどのバカップルも笑えないくらい係長の事でいっぱいだ。こんなに好きって気持ちが膨らむなんて知らなかった。
だからこの気持ち、ちゃんと伝えるんだ。



ドキドキする鼓動が誰にも聞こえないように、私は両手を握ってそっと胸に当てた。




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