御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
急な出張で忙しかっただろうに、私の事をこんなに考えてくれてる。
しかもネットでの注文じゃなくて、わざわざ花屋さんに行って、自分で花を選んでメッセージを書いてくれた。

「私、愛されてるなぁ〜」

冗談めかして呟いたら、涙がぽとんと落ちた。

頑張ろう、私。ずっと将生に好きでいてもらえるように。ずっと将生を支えられるように。



遅い時間になって、ホテルに帰った将生から電話がきた。

「もしもし?誕生日おめでとう」

「うん」

「花、届いた?」

「うん」

少し照れ臭そうな将生の声を聞いていたら、また泣きそうになってきて、慌てて話かけた。

「あ、でもさ最後ってひどくない?私、もう将生からお花もらえないの?」

冗談っぽく怒った口調で言うと、電話の向こうで将生がムッとしたのが分かった。
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