御曹司様のことなんて絶対好きにならない！

「そういえばこの間、常務に偶然会って声をかけて頂きました。弟が迷惑かけて申し訳ないって」

思い出して言うと、坊っちゃまは「えっ！？」と驚きの声を出した。どうやら本気で驚いてるらしい。

「それ、いつ？他になんか言われた？」

驚き過ぎて焦っている。
いつもは余裕な態度を崩さない坊っちゃまの珍しい姿がおかしくて笑いが堪えられない。

係長はクスクス笑い続ける私にムッとした顔をしていたが、そのうち自分もおかしくなったのか「過保護で困るよ」と微笑んで言った。


その目が、笑顔が優しくて、私は今日何度目かに顔を赤くした。



「じゃ、出ようか？」

私の頭のをポンポンっと撫でながら、坊っちゃまが先を立った。


そんな軽く触れられると‥‥困る。


昨日までは絶対に心になかった感情にどうしたらいいか分からなくなる。