御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
午後の仕事は午前とは違う理由でなかなか進まなかった。
伝票入力ってこんなに集中力必要だったっけ。
「ん〜〜」っと小さく唸っていると、

「香奈美?なんか、大丈夫?」

ひと段落ついた知恵ちゃんが遅めのランチから帰って来たついでに私の席に来た。
同じ部とはいえ知恵ちゃんと私のグループは離れていて、オフィスの端と端にある。直接話すにはどちらかの席に行くか、廊下の端の自販機か給湯室へ行くしかない。

「知恵ちゃーん!」

突然来てくれた救世主に私は心の中のぐちゃぐちゃしたモノを吐きだした。



「なるほど、ついに行った2人でのお食事で坊っちゃまを意識しちゃったわけね」

私の横に座り書類を見て、仕事してますよ!のアピールをしたまま、知恵ちゃんは私とボソボソと話す。

「意識ってわけじゃなくて‥‥なんか初めて知った事が多いからね驚いたりっていうかさ」

「それを意識してるって言うのよ」

言い切られて反論出来ない。
< 24 / 148 >

この作品をシェア

pagetop