御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
呟きながら顔を近付けて涙をぬぐうように、私の目尻に唇を当てた。

それはまるで何かの儀式のようで。

離れた唇を追う私を見つめて、係長は今度はゆっくりと2つの唇を重ねた。


伝わる熱が、心まで浸透していくみたい。
きっと、数秒の筈の触れ合いは私の中に大きな波紋を広げた。







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